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「国民に最低限の生活保障を提供する」という設立目的からだが、民間生保が断った加入希望者が簡保に流れているケースも多いという。
簡保による民業圧迫を懸念する民間生保。
生命保険協会は「民営化するなら民間との競争条件の同一化が必要」と主張。
簡保が免除されてきた固定資産税などの租税負担と、経営規模に応じて加盟料が決まる保護機構への加入を求めてきた。
2003年1月、簡保の営業成績に異変が起きた。
毎月40万件前後だった新契約件数が33万6000件まで減り、その後ずっと33万件前後で推移。
約1年間にわたり前年同月を18%程度下回る状態が続いたのだ。
理由は「観劇」にあった。
簡保は全国各地に「かんぽの会」という加入者団体を設けていた。
養老保険などの加入者が15人以上集まれば、保険料を割り引く独自の制度を活用。
会社やPTAなどの単位で会を組織し、割引になった保険料を利用して観劇や旅行などに連れていく。
実態は「簡保に入って観劇ツァーに行こう」と勧誘するための営業シールだった。
こうした特定契約者に対する利益提供は民間生保なら保険業法に抵触する違法行為になる。
N 公社への移行を03年4月に控えて、コンブライァンス(法令順守)を強化するために03年1月に新規募集を停止したところ、養老保険を中心に新規契約が激減したのだ。
簡保がゆがめる生保市場の規律。
株式上場を視野に入れた民営化後も簡保に「市場原理」がどれだけ浸透するかは不透明だ。
政府案では金融庁の監督下に入るためコンプライァンスの徹底は見込まれるが、持ち株会社から分離・独立する2017年までは政府出資も郵便、郵貯との実質的な一体経営も続く。
「巨艦」を安全にかつ早急に市場に融合させるか。
保護機構という同じ船に乗ることになる生命保険業界にとって、大きく重いテーマになる。
実際、簡保の保険金の支払いは民間生保より多い。
2002年度の NS 保険の個人向け保険の保有契約高に対する支払い保険金の割合は4.9%。
これに対し、簡保は7.3%にのぼる。
簡保は加入者の平均年齢が N 生命より高く、商品構成も異なるため単純比較はできないが、「その点を差し引いても簡保は支払いが多い」(国内生保)との指摘は根強い。
簡保が生命保険市場に占めるウエートは圧倒的だ。
個人向け保険をみると総資産は125兆7000億円で民間を含めた全体の53%。
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